shiryoseikyu_over.jpg
資料請求はこちらからどうぞ!

2019年05月03日

令和初の憲法記念日なので、憲法の過去問題

こんにちは。東京アカデミーの福島です。

今日は、令和初の憲法記念日ということで・・・。

公務員試験の教養試験でも、専門試験でも必ず出題される「憲法」のお話を。

古いのですが、2001年の国家公務員一般職(当時は国家U種)の問題から。


No.19 裁判官の職権の独立及び身分保障に関する次の記述のうち妥当なのはどれか。

1.裁判官の職権の独立は各裁判官に対する外部の干渉や圧力の排除を目的とするものであるから、地方裁判所の所長が当該裁判所に所属する裁判官の担当する事件の内容について具体的な示唆を与えることは裁判官の職権の独立の侵害にはあたらない。

2.憲法第78条は行政機関による裁判官の懲戒処分を禁じているが、同条は立法機関による懲戒処分を否定するものではないと解するのが通説である。

3.裁判官に職務上の義務違反がある場合は裁判によって懲戒処分に付すことができるが、懲戒処分の種類は戒告又は過料に限定される。

4.裁判官も私人としては一市民として表現の自由が保障されているから個人的意見の表明であれば積極的に政治運動することも許容されるとするのが判例である。

5.最高裁判所の裁判官がその任命後初めて行われる衆議院議員選挙の際に国民審査に付される趣旨は、内閣による任命の可否を国民に問い、当該審査により任命行為を完成又は確定させるためであることが判例である。







正答 3

1.76条3項「独立してその職権を行ひ」とは、他のなにものの指示・命令を受けずに、自らの判断に基づいて裁判を行うことを意味する。立法権・行政権はもとより、司法部内の指示・命令もまた排除される。
 なお、1969年、長沼事件に関連して、当時の平賀健太札幌地裁所長が、事件担当の福島重雄裁判長に対して、判断の一助にしてほしいとの前おきのもとに、国側の裁量判断を尊重して自衛隊の違憲判断は避けるべきである旨を示唆する内容の「書簡」を私信として送った事件。福島裁判長は、これを不当な干渉と受け取り、この書簡を公表した(平賀書簡事件)。札幌地裁裁判官会議は明らかに裁判に対する干渉にあたるとして平賀所長を厳重注意処分に付した。最高裁判所は、同所長を注意処分に付し、東京高裁に転任となった。したがって、本肢は誤り。
 なお、その後、福島氏のとった行為への権力側の批判が強まり、「司法の危機」といわれる一連の事件の発端となった。青年法律家協会問題、新任・再任拒否問題がこの後に続く。

2.78条は、行政機関による裁判官の懲戒処分の禁止を規定している。これは、裁判官に対する行政権の不当な干渉を排除し、裁判所の自主的な処理に委ねる制度である。できるだけ懲戒処分が裁判官の身分保障を不当に侵すことなく、司法権の独立にわるい影響をおよぼすことがないように保障しようというところに、78条後段のねらいがあるので、立法機関による裁判官の懲戒処分も、本条の精神により禁止される(宮沢・芦部補訂「全訂日本国憲法」630頁)。したがって、本肢は誤り。

3.懲戒(78条後段)とは、裁判官の身分関係の秩序を維持するために、裁判官の非行に対して科される制裁をいう。裁判官でも、「職務上の義務に違反し、若しくは職務を怠り、又は品位を辱める行状があったとき」は、懲戒に服する(裁判所法49条)。処分は、戒告または1万円以下の過料であり、懲戒免官は認められない(裁判官分限法2条)。したがって、本肢が正解。

4.現職裁判官(判事補)が、通信傍受法の立法化に反対の立場から、令状実務上、通信傍受令状では、国民の人権擁護の砦にはなりえないという趣旨の投書を行い、1997年10月2日の新聞紙上に掲載され、当時所属していた旭川地裁所長から書面で厳重注意処分を受けた。その後、同判事補は「盗聴法と令状主義」に関するシンポジウムに出席し、所属する仙台地裁所長の事前の警告等を紹介しつつパネリストを辞退した理由について発言した。この行為が、裁判所法52条1号が定める「積極的に政治活動をすること」に該当するとして、裁判官分限法上の懲戒申立がなされ、1998年7月24日に一審仙台高裁で判事補の戒告処分が決定され、最高裁はその即時抗告を棄却する決定を行った(最大決平10.12.1民集52巻9号1810頁=重判平10憲1事件=寺西事件)。
 すなわち、裁判所法52条1号の「積極的に政治活動をすること」の禁止規定は、裁判官の独立・中立性と裁判に対する国民の信頼を確保する等の目的を有していて合憲であり、憲法21条の表現の自由が裁判官に及ぶとしても、禁止目的が正当で目的と禁止の間に合理的関連性がある場合の制約は認められるとした。そのうえで、法案の廃案をめざす運動の一環としての集会での発言等は、職業裁判官からみて法案には問題が多いというメッセージを言外に伝える効果や運動促進の効果をもつため、積極的な政治活動に該当するとした(多数意見)。
 したがって、本肢は誤り。

5.最高裁判所の国民審査の法的性質に関して、通説(宮沢・全訂223頁)・判例(最大判昭27.2.20民集6巻2号122頁)は、リコール(解職制)と解しており、本肢は誤り。


なぜこの問題を選んだのかと言うと、
最大決平30.10.17民集72.5.890があるからです。

有斐閣が毎年、1年前の11月1日〜当該年度の10月31日までに出された重要(リーデイングケースとなりうるもの、学理上・実務上の大きいという意味)な判例を「重要判例解説」として出版しています。

「平成30年度重要判例解説」では、上記大法廷決定が掲載されています。
この事件については新聞報道もされたので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

この新聞報道があったときに、当該事件は<司法権の独立>や、<裁判官の身分保障>、<表現の自由>が問題になっているので、これらの論点について確認しておきましょう、という出題者の考えのもと、
今回の出題のような問題が出される可能性が出てきます。

公務員試験受験生は、確認しておきましょう。

http://www.tokyo-ac.jp/lesson/49801.html


posted by 東京アカデミー町田校 at 15:05| 公務員(大卒程度) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。