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2012年09月09日

今日の1問! 平成23年 東京特別区T類 専門 問10 行政法

こんにちは。

公務員試験対策(大学卒業業程度)の予備校いす東京アカデミー町田校の福島です。


早速ですが、
今日の1問exclamation

平成23年東京特別区T類・専門の問10、行政法の問題です。


No.10 行政法学上の損失補償に関する記述として、最高裁判所の判例に照らして、妥当なのはどれか。

1 河川付近地制限令の定める制限は、河川管理上支障のある事態の発生を事前に防止する目的の制限であり、何人も受忍すべきものであるから、同制限について同令に損失補償に関する規定がない以上、損失補償を請求することはできないとした。
2 自作農創設特別措置法に基づく農地の買収は、自作農創設を目的とする一貫した国策に伴う法律上の措置であることから、農地の買収価格は、自由な取引における他の価格と正確に適合する補償でなければならないとした。
3 行政財産たる土地につき使用許可により与えられた使用権は、それが期間の定めのない場合であれば、当該行政財産本来の用途又は目的上の必要を生じたときはその時点で原則として消滅すべきであり、使用権者は、特別の事情のない限り、取消しによる使用権喪失に関する補償を求めることはできないとした。
4 倉吉市都市計画道路予定地収用事件では、土地収用法における損失の補償は、特別な犠牲の回復を図ることを目的とするためであるが、完全な補償、すなわち、収用の前後を通じて被収用者の財産価値を等しくならしめるような補償までは必要としないとした。
5 福原輪中堤損失補償事件では、経済的価値でない特殊な価値であっても広く客観性を有するものは、土地収用法にいう「通常受ける損失」として、補償の対象となるとの見地に立ち、堤防の文化財的価値を補償の対象とした。




正答 3
≪難易度C≫
肢1;最判昭43.11.27刑集22卷12号1402頁は、法令に損失補償についての規定を欠く場合であっても、憲法29条3項を直接根拠にして、補償請求することができると判示しています。したがって、本肢は誤り。また、前段の「河川付近地制限令の定める制限は、河川管理上支障のある事態の発生を事前に防止する目的の制限であり、何人も受忍すべきものである」としている点も、誤りです。すなわち、同判決は、「本件記録に現れたところによれば、被告人は、…河川付近地制限令により、知事の許可を受けることなくしては砂利を採取することができなくなり、従来、賃借料を支払い、労務者を雇い入れ、相当の資本を投入して営んできた事業が営み得なくなるために相当の損失を被る筋合であるというのである。そうだとすれば、その財産上の犠牲は、公共のために必要な制限によるものとはいえ、単に一般的に当然に受忍すべきものとされる制限の範囲をこえ特別の犠牲を課したものとみる余地が全くないわけではなく・・・」としています(準拠テキスト行政法123頁)。

肢2;最大判昭28.12.23民集7巻13号1523頁は、憲法29条3項にいう「正当な補償」について、当該財産について合理的に算出された相当な額であれば市場価格を下回っても「正当な補償」といえるとしたので(準拠テキスト行政法125頁)、本肢は誤り。

肢3;最判昭49.2.5民集28巻1号1頁は、「都有の行政財産たる土地につき、行政財産たる土地につき使用許可により与えられた使用権は、それが期間の定めのない場合であれば、当該行政財産本来の用途又は目的上の必要を生じたときはその時点において原則として消滅すべきものであり、また、権利自体に右のような制約が内在しているものとして付与されているものとみるのが相当である」と判示した(準拠テキスト行政法127頁)。ただし、判決は、使用許可にあたって支払った対価をいまだ償却していない場合や、使用許可に際し別段の定めがあるなど「特別の事情」がある範囲で、権利対価分の補償がありうることを留保しています(櫻井・橋本106頁)。これが、肢3にいう「特別の事情」になります。本肢が正解。

肢4;最判昭48.10.18民集27巻9号120頁は、土地収用法における損失の補償は、特定の公益上必要な事業のために土地が収用される場合、その収用によって当該土地の所有者等が被る特別な犠牲の回復をはかることを目的とするものであるから、完全な補償、すなわち収用の前後を通じて被収用者の財産価値を等しくならしめるような補償をなすべきであ」ると判示しました(準拠テキスト行政法124頁)。したがって、本肢は誤り。

肢5;最判昭63.1.21判時1270号67頁は、「輪中堤」の文化財的価値について、経済的価値ではない特殊な価値であり、土地収用法上の補償対象とならないと判示しました(櫻井・橋本420頁)。したがって、本肢は誤り。ちなみに、輪中堤とは、「わじゅうてい」と読みます。ある特定の区域を洪水の氾濫から守るために、その周囲を囲むようにつくられた堤防のことだそうで、濃尾平野の輪中堤が有名だそうです。以上、最上川電子大辞典(http://www.thr.mlit.go.jp/yamagata/river/enc/words/10wa/wa-001.html)より。
 損失補償の制度が、収用の前後を比べて被収用者が有する財産的価値を等しく維持する仕組みと言われます。このことを前提として、文化的価値といわれるものが、金銭評価可能な客観性のあるものであるか、市場を通じて形成される価格を想定できるものであるかが問われた事件が、肢5の福原輪中堤損失補償事件です。名古屋高裁昭58.4.27行集34巻4号660頁は、輪中堤の文化財的価値には個人の主観的感情の枠を超え、広く社会的に承認された客観的価値が認められるとして、文化的価値の損失補償を容認しました。しかし、最高裁は、輪中堤の文化的価値は不動産としての価格形成に影響を与えるものではないと判示しました。「原審の認定によれば、本件輪中堤は江戸時代初期から水害より村落共同体を守ってきた輪中堤の典型の一つとして歴史的、社会的、学術的価値を内包しているが、それ以上に本件堤防の不動産としての市場価格を形成する要素となり得るような価値を有するというわけではないことは明らかであるから、前示のとおり、かかる価値は本件補償の対象となり得ないというべきである。」(以上、大橋@410頁)。


どうでしたか。
行政法は、基本的な知識・判例を聞く問題が多いと思います。
いままでの合格者は、専門科目の中で行政法を得意科目にする人が多く、
国家一般職試験でも満点を取る受講生が多いように思います。

基礎からの学習が本当に大事ですよ。

さて、
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posted by 東京アカデミー町田校 at 08:00| 公務員(大卒程度) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする