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2012年06月11日

平成24年 裁判所一般職採用試験 専門問1

こんにちは。
公務員予備校の東京アカデミー町田校の福島です。

平成24年度の裁判所一般職採用試験の問題を見ることができました。

今日はそこから1問。
専門・憲法の問1を。

ただ、裁判所一般職採用試験の問題は
転載禁止となっていますので、
問題文の引用はできません。
なのでその解説を書きたいと思います。

問題;条例による財産権の制限についてのA説と、B説の4つの論拠についての正しい文章を選ぶ問題。
問題文に出てくる説は・・・
A説;財産権の規制は、法律の委任がある場合を除き、必ず法律によらなければならない。
B説;財産権は、法律の個別の委任なしに条例で規制することができる。



正答 1(正答は裁判所のサイトで公表されています)

憲法29条2項は、「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める」と規定しています。この「法律」に条例が入るか、という論点があります。

否定説(A説)の論拠としては、
財産権は置く全国的な取引の対象となりうるものであるから、その内容を定め、あるいはこれを制限するのは、統一的な法律によることが合理的だとします。

肯定説(B説)は、以下の理由を挙げています。
@地方公共団体がその行政を執行するためには条例を制定することを認めた憲法94条の規定は、立法を国会の専属管轄とした憲法41条の例外をなす、
A条例は地方議会という民主的基盤に立って制定されるものであるから、実質的には法律と差異はない。

さて、問題文に挙がっている論拠について、
一般的な憲法の学習をしていたら、ア・エはすぐに分かりますが、
イ・ウについては、現場で考えることになります。

ア;A説の論拠=条例が民主的基盤に立って制定されていること。 ⇒ これは上記のとおり肯定説(B)Aの論拠ですから、アは誤り。

イ;A説の論拠=憲法が財産権の不可侵を保障していることを重視。
 ⇒ これは正しいです。財産権に対する規制を少なくしようとするならば、法律以外の規制を認めない方向に解釈するA説を採用することになるでしょう。

エ;B説の論拠=29条2項の文言を重視。 ⇒ 29条2項の文言を重視しているのは、否定説(A)です。29条2項の文言上「法律」によるべきとして、条例による財産権の規制を否定するのです。したがって、エは誤り。

問題はウです。

ウ;B説への批判=法律による制約を受けずに、条例で財産権を規制しうる。 ⇒ 29条2項の「法律」に条例が含まれるのであれば(佐藤幸治先生の言うように「法律」を「条例」と読み替えるならば)、その通りではないかと一見思えます。法律の個別の委任がなくても条例で財産権を規制しうるのだから、法律による規制を受けないものもあるのではないかということで、ウは正しいようにも思えるのです。
  しかし、ウの文章「法律による制約を受けずに」の意味するところが、「法律の範囲内で条例を制定することができる」(94条前段)、「法令に違反しない限りにおいて…条例を制定することができる」(地方自治法14条1項)の「法令に反しない限り」を指すのだと考えれば(これはどの説を採用しても当然の前提なのですが)、ウは誤りとなります。ちなみに、リーガルクエスト憲法T統治374頁は、「条例による規制は、法令に反しない限り可能とする」説と肯定説を紹介しています。

  出題者は、この当然の前提(法令に反しない限り)を聞くつもりで作問したと考えられます。
  ただ「法令に反しない限り」と「法による制約を受ける」は同じなのでしょうか・・・。

  ちょっと意地悪な問題だと思います。しかもこれが専門の最初の問題ですから…。受験生は、この問題にとらわれなくてよいと思います。

  この解説を作るのに、芦部、佐藤幸治、佐藤功、清宮T、中村ほか注解法律学全集2憲法U、中村ほか「憲法U」、高橋・立憲主義、渋谷憲法、アルマ統治、長谷部・憲法、憲法学読本、リーガルクエスト憲法統治などを引っ張り出しました。が、イ・ウに関する記述は見つけられませんでした。
posted by 東京アカデミー町田校 at 01:45| 公務員(大卒程度) | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする